Hikasa's Official Site
実は、源泉かけ流しの基準ってとても厳しい壁があるんです!その壁をお伝えしていきます。
この記事を開いてくださりありがとうございます!
温泉ソムリエ・温泉保養士のひかさです。
今回は温泉研究(総論)第4回!
「入浴死亡率は交通事故よりも多すぎる!?」
です。
少し重い話になってしまいます。
でも、私たち温泉ソムリエ、温泉保養士はそのような悲しい事故を防ぐために存在しています。
皆さんに危険性を知ってもらい、安全に楽しむ方法をお伝えしていくので、ご安心を!
みなさん、交通事故で年間どのくらい人が亡くなっているかご存じですか?
昨年令和3年は、大変残念なことに、2,636人だそうです。
〈参考資料〉
令和3年における交通事故の発生状況等について / 警察庁 <2022年7月22日閲覧>
https://www.npa.go.jp/news/release/2022/20220303jiko.html
学校で考えると、僕が住む大阪の公立高校は1学年360人、それが3学年ですから、合計1080名ですね。
つまり、高校の全校生徒の2倍くらいが年間「交通事故だけで」亡くなっているんです。
もちろんその原因は様々ですよね。
運転手の不注意、無免許運転、飲酒運転、わき見運転などですね。
しかし、これらは免許取得の際に危険性を学んでいます。
入浴事故って皆さん聞いたことありますか?
実は結構身近な事故で、今日でも起こりうる事故です。
ちなみに、原因は2つと考えておきましょう。
おうちのお風呂でも銭湯でも温泉施設でも構いません。
気持ち良すぎて、入浴中にうとうと…
そんなことはありませんか?
これが死因です。
眠っている最中に、顔が水面に近づき、肺に水が少量入る。
これだけで死亡してしまうんです。溺死となるみたいです。
これを聞いてどう思います?
溺死というと、プールや海で大量の水の中でおぼれるイメージですよね?
でも、たった少量でも溺死になるんです。
なので、リラックスは良いものの、眠るのは大変危険なのです。
さて、ネットでよく出てくるワードですね。
「ヒートショック」です。
寒暖差の激
※ヒートショックについてはChapter4で述べます。
さて、ここまで交通事故の志望者数と、入浴事故について学んできました。
では、本題です。
入浴事故の死亡者数は年間、どのくらいいるのでしょうか??
答えは、年間約19000人※です。
交通事故の9倍以上です!!
びっくりですよね…
ちなみに全国の高齢者の浴槽内における志望者数は
令和元年で4,900人だそうです。
これでも、交通事故の件数普通に超えていますね。
※平成24年10月から平成25年3月までに東京都、山形県、佐賀県において調査をし、全国で起こった件数を推計した結果です。
※最新情報を探しましたが、全国規模の推計などは近年行われていないため、今回はこのデータを使用しました。
〈参考資料〉
令和3年における交通事故の発生状況等について / 警察庁 2頁 <2022年7月22日閲覧>
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_042/assets/consumer_safety_cms204_20201119_02.pdf
さっきの大阪府の高校の生徒数で行くと、17個の高校の生徒が年間入浴による事故で死亡するイメージです。
やばいじゃすまないですよね、これ。
交通事故ってたくさん報道されます。
理由は、基本的に加害者と被害者がいて、特に加害者側は刑法で罰せられるからです。
しかし、入浴事故は全く報道されません。
理由は、加害者がおらず、自己責任で、かつだれも罰せられることをしていないからです。
そのため、交通事故よりも入浴事故の志望者数の方が圧倒的に多いにもかかわらず報道されないのです。
さて、入浴の危険性が十分伝わったと思います。
そこで、いよいよ対策方法です。
次のことをやってみると
まず、源泉100%にしたければ、温度がある程度人間に適したものでないといけません。
例えば、源泉90度で源泉かけ流しにしたいと思っても人は入れませんよね?
加水せざるを得ないのです。
逆に、源泉が10度などの低い場合には加温をしなければなりません。
ちなみに、温泉地では高温でもそのまま源泉かけ流しで提供している場所もあります。
どうやって実現するかというと、主に2つの手段があります。
これは草津温泉の例がわかりやすいでしょう。
湯畑というものがあります。草津温泉でエメラルドグリーンの滝みたいなのを見たことはありませんか?
あれって、ただ流しているだけではなく、温度を下げる効果もあるわけです。
ただし、理科系がお得意な方はお察しがつくはずです。
成分が空気に触れて弱まるのでは?
そうなんです。草津温泉ももとは透明な湯ですから、酸化してあの色になるわけです。
そのため、成分が弱まってしまうというデメリットがあります。
お湯が熱いときに人って混ぜる動作をすると思うんです。それを文化として板で行ってきたのが草津です。
湯もみイベントといって、湯もみのパフォーマンスを楽しむこともできます。
そんなことは置いといて、湯もみをすることで人間が入る適切な温度になるわけです。
もちろん入るまでに時間がかかるデメリットはありますが、浴室まではできる限り空気に触れさせないことから
完ぺきとは言えずとも成分が逃げるのを少しは阻止できる手法です。
さあ、これら2つを見てもらうといかに難しいかがわかりますよね?
しかも壁はこれだけではないのです。
次にお湯を流し続ける必要があるということは、相当な湯量が必要となるわけですね。
おうちでやってみてください。
水道代が大変なことになりますね!
しかも自然湧出ですから、勢いがすごくて、量が多くないと源泉かけ流しは実現しないんです。
そのため、各温泉地は湯量を売りにするところもあります。
理由は、それだけ源泉かけ流しの提供が現実的であり、より質の高い温泉を届けることができるためです。
さて、最後に源泉かけ流しについての注意点をお伝えします。
まずは、源泉かけ流しの温泉を見つけるときに気を付けることです。
1.加水・加温をしてないかを確認すること
2.消毒・循環・濾過(ろか)をしていないかを確認すること
先ほどお伝えしたように、源泉かけ流しの一般的な定義からすれば、
源泉100%であることですから、1の加水・加温はNGです。
また、かけ流しですから、2のように温泉の再利用をしていることもNGです。
このような表記は温泉分析書に書かれているはずなので確認してみてください。
つぎに、源泉かけ流しに入るときに気を付けることです。
3.刺激の強さを把握しておくこと
草津温泉のような酸性泉は皮膚への刺激が強すぎます。
源泉かけ流しであることから成分が落ちずにそのまま刺激が強い状態で浴槽に流れてきています。
そのため、入浴方法をしっかりと理解し、湯あたり(のぼせるなど)がないようにしましょう。
特に持病をお持ちの方は、必ず温泉分析書の「浴用の禁忌症」を読んで、該当する場合には入浴はやめましょう。
最後に、イメージの問題です。
4.源泉かけ流し以外がダメというわけではない
ここまでの説明を見ると、源泉かけ流し以外はダメかのように見えてしまいますが、そういうわけではありません。
例えば、とても強い成分が入っていて、
でも温度が高すぎるので加水したら人間にちょうどいい成分の量になるなんてこともあるわけです。
何でもかんでも強ければいいわけではないですからね。
そのため、たとえ100%の源泉かけ流しでなくとも、源泉かけ流しでなくとも、
無意味というわけではないということをご理解ください。
さて、源泉かけ流しとは、
1.自然湧出
掘削(地面を掘って穴をあけて温泉を引っ張ってくること)が必要なく、自然と温泉が湧き出てくる方法
温泉そのものの勢いが強いときにはこの方法となる。
2.源泉100%
加水(温度を下げるために水を足すこと)、加温(温度を上げるためにお湯を足すこと)をせずに、
100%源泉のみで浴槽のお湯を満たしている状態。
3.かけ流し
一度浴槽に流れてきた温泉をそのまま流す方式で、基本的に循環したり、濾過したり、消毒したりする場合は
これに該当しない。
の3つの条件を満たすものでしたね!
今後、温泉を探すときにはこのような条件に目を向けてみてはいかがでしょうか?
ということで、ひかさでした!
ご覧いただきありがとうございました!
作成日:2022年7月20日(木)